データベーススペシャリストとは?試験概要や対策について解説


データベーススペシャリスト試験とは、データベースの専門能力を評価するための国家試験です。

データベースのプロフェッショナルが知っておくべき知識、実技を問われます。

受験資格は特にないため、誰でも受験が可能ですが、合格率は例年15~17%と低く、難関試験です。


その上、年に1度しか試験日がないため、何度も受験することも難しいのです。

データベーススペシャリストに合格したいけど、どんな試験なんだろう。
おすすめの対策方法も知りたいよ



本記事をご覧いただくことで、次のことがわかります。

この記事でわかること
✅データベーススペシャリストの試験概要
✅午前Ⅰ試験の免除制度とは
✅データベーススペシャリストで求められるスキル
✅データベーススペシャリストの試験対策方針

データベーススペシャリストの試験概要

データベーススペシャリスト試験は、次の4つの試験で60点以上を取ることで、合格となります。



試験出題分野詳細内容
午前Ⅰ
(50分)
一般分野コンピュータ全般の基礎知識択一式で30問回答。
応用情報技術者試験の午前問題から抜粋されて出題。
※一部の試験に合格している場合は、免除になる。
午前Ⅱ
(40分)
専門分野DBの基礎知識択一式で25問回答。
DBに関する用語の正しい理解が求められる。
過去問の流用が多い。
午後Ⅰ(90分)専門分野DBの基礎技能事例問題を使って実技能力を求められる。3問中2問を選択して解答。記述式試験。
知識があるだけで手を動かしたことがない場合は難しい。
午後Ⅱ(120分)専門分野DBの応用技能事例問題を使って実技能力を求められる。2問中1問を選択して解答。記述式。
知識があるだけで手を動かしたことがない場合は難しい。
午後Ⅰに比べ、事例の規模が大きく、やや複雑。



データベーススペシャリスト試験に求められる知識や技能

データベーススペシャリスト試験に合格するためには、次の2種類のスキルが必要です。

  • 午前Ⅱ試験で問われる「データベース全般の基礎知識」
  • 午後試験で問われる「データベースに関する、特に選ばれた項目に対する深い知識と実技能力」

データベースの専門家として、最低限知っておくべき内容が凝縮されているんだね



試験時間・時期

例年10月の第3日曜日に実施されていましたが、2021年度・2022年度は10月の第2日曜日に実施しています。


2022年度は10月9日です。

試験時間は、次の通りです。

試験時間
午前Ⅰ9:30~10:20(50分)
午前Ⅱ10:50~11:30 (40分間)
午後Ⅰ12:30~14:00 (90分間)
午後Ⅱ14:30~16:30 (120分間)



合格基準・採点方法

全ての試験で60点以上取ることで合格になります。

例えば、午前Ⅱ試験が60点を超えていない場合、午後Ⅰ・Ⅱ試験は採点されません。

段階的に採点されるんだね!
4試験の合計点では採点されないから、全部の試験を対策する必要があるんだね。
(捨て試験は作れないのか…。残念)


受験者資格


資格は特にないため、誰でも受験可能です。

誰でも受けられるんだ!
難関資格みたいだけど、未経験でも合格できるかな?

データベーススペシャリストを受験する人の多くは、下位資格である「異本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」は合格していることが多いかな。



未経験で、いきなりデータベーススペシャリストを受験することも、制度上は可能です。

しかし、豊富な業務経験を積んでいるか、応用情報技術者試験レベルの知識を習得していないと、合格は難しいでしょう。




各試験の特徴

午前Ⅰ試験

午前Ⅰ試験は、コンピュータ全般の基礎知識を問う四肢択一形式の試験です。

テクノロジー系、マネジメント系、ストラテジー系に分けられ、基礎理論からコンピューターシステム、技術要素、開発技術などに関する問題が出題されます。

割合は、テクノロジ系17問、マネジメント系5問、ストラテジ系8問程度で構成されています。

出題数は計30問、制限時間は50分以内です。




なお、問題は、同日に行われる応用情報技術者試験の午前問題から抜粋され、出題されます。

午前Ⅰ試験は高度区分全てで共通問題となります。


実は、午前Ⅰ試験は免除制度があるんだ
免除されている人は、午前Ⅱ試験から参加することが できるよ。

午前Ⅰ試験がなければ、データベースの知識だけを勉強すればよいもんね。
午前Ⅰ試験があると、+αで勉強する範囲が増えるから、大変だな。

免除される対象者は、どんな条件をクリアしているのかな?




午前Ⅰ試験の免除制度

下記のいずれかの条件を満たした場合、その後(2年間)の受験申込み時に申請することによって午前Ⅰ試験の免除になります。

【情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の一部免除対象となる条件(いずれか一つでも満たせばOK)】

①応用情報技術者試験(AP)に合格
②情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
③情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる

情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の一部(午前Ⅰ試験)免除制度|IPA



有効期限は2年間だから注意しよう。

期限が切れるのを防ぐために、2年おきに高度試験を受けるのが効率が良さそうだね!
合格できなくても、午前Ⅰ試験で60点以上獲得できれば、免除対象になるんだね。



午前Ⅱ試験

午前Ⅱ試験は、データベースとデータベース周辺の基礎知識を問う四肢択一形式の試験です。

出題数は25問で、制限時間は40分です。


問題は次の6分野から出題されます。

  • コンピュータ構成要素
  • システム構成要素
  • データベース★
  • セキュリティ
  • システム開発技術
  • ソフトウェア開発管理技術



この内、「データベース」に関しては出題される技術レベルが「4」に設定されているため出題割合・難易度ともに高くなっています。



午後Ⅰ試験

午後Ⅰ試験は、データベースの基礎実技能力を問われる記述式試験です。

大問形式で3問出題された中から2問を選択します。制限時間は90分間です。


主にデータベース設計と運用設計、セキュリティシステムの応用と理解、データベースアクセスの同時実行制御とテーブルの設計やSQLの設計などが出題されます。

事例形式で出題されるため、データベースを扱うエンジニアが業務で直面する、様々な問題点などをテーマとした内容となっています。


午後Ⅱ試験

午後Ⅰ試験は、データベースの応用実技能力を問われる記述式試験です。

大問形式で2問出題された中から1問を選択します。制限時間は120分間です。


2時間もあるのか。
長いな〜〜

1問あたり10ページ以上も問題文があるんだ。
難易度も高いから、解き始めたらあっという間に時間は過ぎてしまうよ!
演習のときも、時間を測りながら解こう!



出題内容としては、データベースの技術面および運用・管理面を含む総合的な問題になります。

専門的な知識はもちろんのこと、問題を的確に読み、必要な情報を整理できる能力も必要です。


午後Ⅰと午後Ⅱのレベルの違い

午後Ⅰと午後Ⅱでは、どういった点が違うのでしょうか。

実は、データベースに関する基礎知識のレベルは、特に違いはありません。

しかし、午後2の方が扱う事例の規模が大きく、問題が少し複雑な傾向にあります。

また、データベーススペシャリスト最後の試験が午後Ⅱになるため、集中力が途切れやすい点も重要な違いとなります。


午後Ⅰ試験も午後Ⅱ試験も本質的にはほとんど変わらないから、
勉強する時も、「午後Ⅰ対策と午後Ⅱ対策」というように明確に分ける必要はないよ。


データベーススペシャリストの試験対策

おすすめの勉強方針


データベーススペシャリストの勉強のポイントは、2つです。


  1. すき間時間に午前問題のインプットをする
  2. 午後問題は解答のパターンを理解する



すき間時間に午前問題のインプットをする

午前Ⅰ・Ⅱ対策は、すきま時間で行いましょう。

情報処理試験の択一問題の多くは、過去試験の流用です。

まとまった時間がある時は、積極的に午後問題を勉強しよう。


午後問題は過去問のパターンを理解する

午後問題で重要なのは、解答のパターンを知ることです。

そのために、1問解くごとに問題の深堀り、研究が欠かせません。


でもさ、記述って、業務経験を踏まえて自分ならどうするかを書けばいいんだよね。
僕は実務経験があるから楽勝じゃん!

それでは点数はもらえないよ。
試験採点者が望んでいる通りにDBを設計できる力がないと、午後問題の得点は難しいんだ。

お客さんとのやり取りでも、相手の望むものがどんなものなのか想像しないと、うまく行かないね。
実務も試験も同じです。

自分の経験だけが根拠となる答えはNGなんだね!
そのためには、解答のパターンを学ぶことが必要だね。




おすすめ勉強方法

「午後Ⅰが2問,午後Ⅱが1問」を1セットとします。

このセットを4~5周することで、合格点レベルに達せるでしょう。

合計で、午後Ⅰを8問、午後Ⅱを4問解くことになるね。
思っていたより少ないな

問題演習では、正解したかどうかだけではなく、問題の研究をすることが大事なんだ!



午後問題は、解答にかかった時間の2〜3倍の時間をかけて、問題の研究をしましょう。


問題演習では、正解したかどうかだけではなく、問題の研究をすることが大切です。

なぜなら、見るべきポイントや出題パターンがあるからです。

一度解くと、なんとなく見るべきポイントがわかるでしょう。



ですので、解答後は、解答時間の2〜3倍の時間をかけて、問題の研究をしましょう。




研究するポイントは、次の通りです。

  • 問題の分析
  • 解答の根拠を明らかにする
  • 知らない用語を調べる

例えば、1問40分で解いたら、最低80分かけて研究するんだね。
1問合計120分(2時間)として、試験までに6題解くとすると…
2時間×6題で、時間は必要だね。



必要な勉強時間

データベーススペシャリストの合格に必要な勉強時間の目安は、実務経験のある人で50~100時間と言われています。

条件を満たすと、午前Ⅰが免除になるため、勉強時間の短縮になります。



データベーススペシャリスト試験対策のおすすめ参考書

最後に、筆者オススメの参考書をご紹介します。


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